乳腺健康アドバイス

[Vol.36]最近保険適応になった、2種類の再発乳がん治療薬について

 2017年12月にパルボシクリブ(商品名:イブランス)、2018年7月にオラパリブ(商品名:リムパーザ)が保険適応になり、乳がんの再発治療に使用することが出来るようになりました。

 パルボシクリブは、ホルモン感受性のある再発乳がんに使用されます。使用方法は、レトロゾールや、フルベストラント(商品名:フェソロデックス)といっしょに併用で使います。いっしょに使うことで、レトロゾールや、フルベストラントだけ単独で使った場合より、効果が高く、効果の持続する期間が長くなります。

 オラパリブは、HER2タンパク陰性で、遺伝性乳がん卵巣がんに関係するBRCA遺伝子に変化のある再発乳がんに使用されます。BRCA遺伝子に変化のある再発乳がんでは、アンスラサイクリン系抗がん剤と、タキサン系抗がん剤を使った後の治療で、その他の抗がん剤を使った場合より、効果が高く、効果の持続する期間が長くなります。

 オラパリブが使えるかどうかは、血液でBRCA遺伝子に変化があるかどうかを調べる必要があります。BRCA遺伝子に変化があった場合には、遺伝性乳がんということになりますので、血縁者も遺伝性乳がんである可能性がでてきます。

 BRCA遺伝子は、常染色体優性遺伝で、子供には性別に関係なく50%の確率で受け継がれます。また、父親か母親のどちらかにはBRCA遺伝子変異があり、兄弟姉妹は50%の確率で受け継いでいます。

 BRCA遺伝子の変化を調べる血液検査は、オラパリブが使えるかどうかを調べる検査であると同時に、遺伝性乳がん卵巣がんであるかどうかを調べる検査になります。検査を受ける前に、BRCA遺伝子の変化があった場合の対応を、決めてから受けることが必要です。

 パルボシクリブもオラパリブも、効果と副作用のバランスを考えて使うことになりますので、主治医の先生とよく話し合って治療をすることが大切です。
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