乳腺健康アドバイス
[Vol.35]乳がん検診を正しく受けましょう
現在、乳房の検査は、病院・診療所・クリニックや検診専門施設で受けることができます。
検査を受ける理由は、乳がんを疑う症状がある場合や、特別な症状は無いけれども早期発見のためなどがあります。
乳がんを疑う症状は、しこりや皮膚のひきつれ、乳頭から血の混じった分泌物などがあります。症状がある場合には、検診を受けるのではなく、乳腺専門のクリニックや乳腺外科のある病院を受診してください。大学病院やがんセンターなどは、乳がんの診断をされた場合に受診する医療機関になります。症状が無い場合に受けるのが、検診になります。
乳がん検診は、大きく分けて二つあります。一つは、高知県でも行われている市町村が実施主体となり、地域住民に対しておこなう対策型検診です。もう一つは任意型検診で、事業主が主体となり従業員に受けさせたり、個人が自分自身のために受けます。
二つの検診の目的は、大きく違っており、対策型検診は、地域住民の乳がん死亡率の減少を目的に行われています。一方、任意型検診は、検診受診者自身の乳がん早期発見を目的に行われています。
検診方法については、任意型検診では決められていません。乳房視触診、マンモグラフィや乳房超音波検査などを、検診実施施設や検診受診者が選んで行われています。一方、対策型検診は、乳がん死亡率減少効果が、臨床試験(多数の人を対象として効果の有無を検証する研究)で証明されている方法で行うことが決まっています。それが、40歳以上の女性を対象とした2年毎のマンモグラフィ検診になります。また、以下の条件に該当するかたは、対策型検診は受けられないことになっています。
・40歳未満
・1年前に対策型検診を受けた
・検査で異常があり、経過観察中
・妊娠中、妊娠可能性がある
・授乳中
・豊胸手術を受けている
・ペースメーカーが入っている
・乳がんの治療中
・自分で乳房の異常を自覚している(すぐに乳腺外科を受診してください)
最近話題になっているマンモグラフィ検査における高濃度乳房ですが、乳がんが見つかりにくいですが、全く見つからないわけではありません。マンモグラフィ検診を受けることは大切です。自己触診をして症状があれば、速やかに乳腺外科を受診してください。
また、乳がん検診を受けると、検査の異常が見つかり、精密検査を受けるように指示をされることがあります。その場合には、速やかに乳腺外科を受診してください。受診時には、マンモグラフィや乳房超音波などの検診で撮影された画像を、可能な限り検診施設で借りてきたいただき、持参してください。検診画像を見ながら精密検査を行うことで、より正確な診断を行えるようになります。
せっかく検診を受けて、早く見つかっているのに、精密検査を受けられないかたもいらっしゃいます。それでは検診を受ける意味がなくなります。検診結果をきちんと見て、必要な対応をとってください。
最後に、乳がん検診で行われているマンモグラフィや乳房超音波検査を受けても、見つかりにくい乳がんもあります。検診を受けて異常が無いと言われても、何か気になる症状がある場合には、速やかに乳腺外科を受診してください。
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