乳腺健康アドバイス
[Vol.33]乳がん検診に乳房超音波検査を追加することについて
乳房超音波検査は、乳房にしこりがある場合や、マンモグラフィ検査で異常を指摘された場合に、精密検査として行われることの多い検査です。
最近、マンモグラフィ乳がん検診における高濃度乳房が話題になっています。マンモグラフィ検査では、乳がんがあっても見つかりにくいことのある乳房のことです。そのような女性に対して、追加で検査を行うことで、乳がんの発見率を向上させることができる可能性がある検査が、乳房超音波検査です。
日本でおこなわれたJ-STARTという臨床試験で、40歳代の女性を対象とした、マンモグラフィによる乳がん検診と比較して、マンモグラフィ検査に乳房超音波検査を追加することによって、乳がんの発見率が向上することが証明されました。その一方で、精密検査が必要になる率が増加してしまうこともわかっています。そして、現在のところ、超音波検査を加えたことで、乳がん死亡率を減少させられるかどうかはわかっていません。
ですから、科学的に死亡率減少効果が証明されている検査で行う必要のある地域住民に対して自治体の行う対策型検診では、積極的に取り入れることは時期尚早と考えられています。
40歳代の女性では、高濃度乳房の割合が高いことが知られています。その40歳代の女性に対して行われたJ-STARTで、マンモグラフィ検査に乳房超音波検査を追加することによって、乳がんの発見率が向上していますので、高濃度乳房に対して乳房超音波検査を追加することによって、乳がんの発見率が向上する可能性はあります。
今後、人間ドックなどの個人的に受ける任意型検診では、積極的に乳房超音波検査をマンモグラフィ検査に追加するようになってくるかもしれません。そのため、ひとりひとりが検査の利益・不利益をよく理解して、乳がん検診の方法を選んでいくことが必要になってきます。
詳しく知りたい場合には、検査を受ける医療機関に、相談してみてはいかがでしょうか。
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