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□■□[Vol.24] 遺伝性乳がん卵巣がんを知っていますか(その2)□■□
 前回は、遺伝性乳がん卵巣がん(hereditary breast and ovarian cancer:HBOC)の原因とその発がんリスク、遺伝子検査の現状について説明しました。
 では、どのような人に遺伝性乳がん卵巣がんの可能性があるのでしょうか。
 遺伝性乳がん卵巣がんの遺伝的評価の対象者(NCCNガイドライン2013)によると、表のように、家系内にBRCA1遺伝子またはBRCA2遺伝子の変異陽性者がいる人、乳がんの患者さんで条件に1つでもあてはまる人、卵巣がんの患者さん、男性乳がんの患者さんや、(自分はがんではなく)家族に乳がん、卵巣がん、膵臓がん、進行性前立腺がんの人がいる人などが、遺伝性乳がん卵巣がんの家系である可能性があります。
 詳細に家系内のがんになっている人の情報を収集確認したうえで、遺伝カウンセリングを受け、遺伝子の変異の有無を検査するかどうかを検討することが重要になってきます。
 遺伝性乳がん卵巣がんの乳がんでは、乳房温存手術をした場合に残した乳房内に再発するリスクが高いとする報告もあり、乳房温存手術は慎重にするべきです。また、乳がん術後10年での反対側の乳がん発症リスクも高い傾向があり、反対側の乳房の検査も厳重に行っていくべきです。これらのことより、乳がん治療を行っていくうえで、遺伝子の変異の有無を知ることは非常に重要であるといえます。
 遺伝子の変異がありまだがんになってない人の発症予防として、手術(予防的両側乳房切除術、予防的卵巣卵管切除術)と薬剤(タモキシフェンなど)による予防が有効であることがわかっています。検診としては、18歳からの自己乳房触診、25歳からの医師による乳房触診、25歳から、もしくは家系内の最初の発症年齢に基づいて個別に設定した年齢から、毎年のマンモグラムおよび乳房MRIスクリーニング、35歳から、もしくは家系内の最初の卵巣がん診断年齢より5〜10年早い年齢から6カ月毎の経膣超音波とCA-125検査が薦められています。
 欧米では、家族歴の濃厚な患者およびその家族に対して遺伝カウンセリングを施行し、希望者には遺伝子検査を行い、治療および検診や発症予防に役立てています。わが国においても診療体制の整備が急務であるといわれています。
 心配なかたは、お気軽にご相談ください。

HBOC Syndrome Testing Criteria (遺伝性乳癌がん卵巣がんの遺伝的評価の対象者)
{Genetic/Familial High-Risk Assessment:Breast and Ovarian, version 3, 2013.
NCCN(National comprehensive cancer network) Clinical Practice Guidelines in Oncologyより一部改変}
・家系内にBRCA1遺伝子もしくはBRCA2遺伝子の病的変異陽性者がいる
・乳がんの患者さんでは、次のどれかに1つでもあてはまる;
 − 乳がんになった年齢が45歳以下
 − 両側もしくは2回乳がんに罹患していて、初回は50歳以下
 − 50歳以下で乳がんに罹患、かつ血縁者が(年齢問わず)乳がん発症
 − 60歳以下で乳がんに罹患し、トリプルネガティブ乳がん
 − (年齢問わず)乳がんに罹患し、かつ血縁者が50歳以下で乳がん発症
 − (年齢問わず)乳がんに罹患し、かつ血縁者2人以上が乳がん発症
 − (年齢問わず)乳がんに罹患し、かつ血縁者が卵巣がん発症
 − (年齢問わず)乳がんに罹患し、膵臓がん、または進行性前立腺がんに罹患した血縁者が2人以上いる
 − 男性乳がんに罹患した人がいる
・卵巣がん(卵管がん、原発性の腹膜がんを含む)の患者さん
・男性乳がんの患者さん
・膵臓がん、または進行性前立腺がんの患者さんで、血縁者に2人以上乳がん、卵巣がん、膵臓がん、あるいは進行性前立腺がんの人がいる
・(自分はがんではなく)家族に乳がん、卵巣がん、膵臓がん、進行性前立腺がん
 の人がいる
 
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