乳腺健康アドバイス
[Vol.20]乳がんの初期治療の現状
乳がんの治療は、大きく分けて二通りある。
最初に乳がんと診断された時におこなう初期治療と、初期治療が終了した後、もしくは初期治療中に新たに乳がんの転移が診断された時におこなう再発治療がある。乳がんの初期治療は、完治を目指すために、決められた治療をやりとげることが重要である。治療は、手術・薬・放射線照射を適切に組み合わせていく。
(1)手術
確実に乳がんの組織を取り除くために、乳房を全て切除するか、乳房の一部を切除するかを選択する。
わきの下のリンパ節は、乳がんが一番はじめに転移をおこすと考えられているリンパ節(センチネルリンパ節)を手術中に探しだして検査を行い、実際に転移がある場合はリンパ節を切除する。
乳房を全て切除した場合には、乳房再建術をおこなうこともできる。方法は二通りあり、自分の体の一部の皮膚と筋肉と脂肪を移植する方法と、人工物(インプラント)を使用する方法がある。
(2)放射線照射
乳房を部分的に切除した場合には、残した乳房への乳癌の再発を抑制するために、残した乳房におこなう。
(3)薬物療法
乳がん組織のホルモン感受性やハーツータンパクの有無、乳がんの悪性度やリンパ節転移の状況にあわせて行う。
手術の前に薬剤の効果を確認し、できるだけ乳癌を縮小させる目的でおこなう術前薬物療法と、手術の後に詳細な病理組織学的検査を確認し必要な薬剤を過不足なくおこなう術後薬物療法がある。ホルモン感受性がある場合は、女性ホルモンを抑える内服薬や皮下注射によるホルモン内分泌療法をおこなう。ホルモン感受性がない場合や、乳がんの悪性度が高い場合、リンパ節転移個数が多い場合は、抗がん剤の点滴による化学療法をおこなう。ハーツ―タンパクがある場合は、ハーツ―タンパクを抑える点滴の抗ハーツ―療法を化学療法にあわせておこなう。
このように、乳がんの初期治療は、その状況によって最適な治療法を選択し、治療をおこなっていくのである。
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